安政6年、国際貿易港として海港した函館港は、日本最初の国際都市でもありました。幕末から、様々な国の文化を取り入れ、明治末期には東京以北最大の街とも言われていました。当時流行した文化の中には、もちろん食文化も含まれており、後のラーメンの源流となった麺料理も当時入ってきたと考えられています。
函館では、昭和初期には早くもラーメンと言う言葉が一般的に用いられ、本施設の時代設定である昭和20年代〜30年代にはラーメン屋台が登場し、軒を連ねていました。
函館に花開いたラーメンの特徴は、豚骨を弱火でじっくりと炊き出し、丁寧にアクを取ったコクがあるのにすっきりとした味わいのスープに、縮れのないストレート麺です。また函館から伝播したと考えられる道南地方のラーメンはその影響を色濃く受け、豚・鶏などの動物系と野菜を使用したスープが多く、道内としては温暖な空気とあいまって、すっきりとした優しい味わいのラーメンが多く見られます。これは寒さが厳しい札幌や旭川のような脂分の多いこってりとした味わいとは非常に対照的です。同時にこの道南地域ラーメンの特徴は当時の函館を中心とした、道南地域の国際的な感覚を裏付けるものでもあると考えられています。もともと動物系を食することに慣れていない日本人は、ラーメンにおいてもこの動物系のスープには抵抗があり、その工夫として醤油や味噌と融合させたり、あるいは魚介系のスープとブレンドする事により動物系の割合を薄め、さまざまなご当地ラーメンとして発展してまいりました。
それと比較すると国際食文化のひとつとして入ってきた味をそのままに味わい、それが浸透した道南地域はまぎれもなく国際化の先進性が高い地域であったと言えるでしょう。そして、そうであったが故に、道南地域のラーメン文化はそれ以上他の地域に広がる事無く、そのたたずまいをそのまま残しているのです。
道南ラーメンとはこうして歴史的に見ても、まさに日本の国際化の先鞭をつけ、異文化流入のまさにその時の味を体験できる一杯です。
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